営業代行を依頼する際の契約書の作り方は?設けるべき項目や注意点を解説
企業が売上を拡大するための手段として「営業代行」を活用するケースが増えています。しかし、営業代行を成功させるためには、しっかりとした契約書を作成し、双方の合意を明確にしておくことが不可欠です。契約書が曖昧だと、トラブルの原因になり、企業活動に悪影響を与える可能性もあります。
そこで本記事では、営業代行を依頼する際に設けるべき契約書の項目や注意点について、具体例を交えながら解説します。
目次[非表示]
- 1.営業代行を依頼する際の契約書とは?
- 2.営業代行の契約に必要な項目
- 2.1.1. 契約の目的と範囲
- 2.2.2. 契約期間と更新方法
- 2.3.3. 業務内容の明確化
- 2.4.4. 報酬と支払い方法
- 2.5.5. 秘密保持条項
- 2.6.6. 損害賠償責任
- 2.7.7. 契約解除の条件
- 2.8.8. 紛争解決方法
- 3.営業代行契約の注意点
- 3.1.業務範囲の曖昧さを避ける
- 3.2.成果報酬か固定報酬かを明確に
- 3.3.秘密保持に関する規定を厳格に
- 4.契約書を適切に作成してトラブルを防ごう
営業代行を依頼する際の契約書とは?
営業代行を依頼する際、契約書は単なる書面の確認ではなく、今後の業務が円滑に進むための指針となる重要な文書です。契約書には業務内容や報酬、期間、秘密保持など、あらゆる項目を記載し、依頼する側と営業代行会社や個人との合意を明確にします。これによって、双方が期待する結果を達成しやすくなり、将来的なトラブルを避けることが可能になります。
営業代行の契約に必要な項目
営業代行の契約書には、いくつかの必須項目があります。これらの項目を正確に盛り込むことで、契約の内容が明確になり、実行段階での不明点や誤解を防げます。以下は、営業代行契約書に含めるべき重要な項目です。
1. 契約の目的と範囲
営業代行の契約書では、まず最初に契約の目的とその範囲を明確にする必要があります。たとえば、具体的な商品やサービスの営業を依頼する場合、その内容を詳しく記載します。また、ターゲットとする市場や地域についても明示し、どのような営業活動を行うのかを具体化しておくことが大切です。
「当契約は、[企業名]の[商品名]を全国の法人顧客に対して販売するために、[営業代行会社名]に営業活動を委託することを目的とする。」
2. 契約期間と更新方法
契約の開始日と終了日、契約の更新に関する条項も明記しておく必要があります。契約が自動更新されるか、期間満了時に改めて協議するかを設定することで、契約終了後のトラブルを防げます。
「契約期間は、2024年1月1日から2024年12月31日までとする。期間満了前の30日以内に双方の合意があれば、1年間の自動更新とする。」
3. 業務内容の明確化
どのような営業活動を代行するのか、具体的な業務内容を細かく記載することが重要です。例えば、営業の手法(訪問営業、テレマーケティングなど)や、対象顧客、業務のスコープを明確にする必要があります。
「営業活動には、以下の業務を含む。
法人顧客への訪問営業
新規顧客リストの作成および管理
商談の設定およびクロージング
月次営業報告書の提出」
4. 報酬と支払い方法
報酬に関する取り決めは非常に重要な要素です。報酬が成果報酬なのか固定報酬なのかを明示し、支払いスケジュール、支払い条件、振込期限なども詳細に記載します。加えて、交通費や通信費などの経費の負担についても明確にしておきます。
「報酬は、基本報酬として月額200,000円を委託者が受託者に支払う。加えて、成約1件につき50,000円の成功報酬を支払う。支払日は毎月末日とし、翌月10日までに銀行振込にて支払うものとする。交通費は実費精算とする。」
5. 秘密保持条項
営業代行には、顧客情報や販売戦略など、企業の機密情報が関わるため、秘密保持に関する条項を設けることが必須です。営業代行会社が業務上知り得た情報を第三者に漏らさないようにするための対策を、契約書に盛り込むことが重要です。
「受託者は、本契約に関連して知り得た委託者の業務上の機密情報を、第三者に漏洩してはならない。契約終了後も、この義務は有効とする。」
6. 損害賠償責任
営業代行によって不利益を被った場合、委託者がどのような形で損害賠償請求できるかを明記しておく必要があります。特に重大な過失や契約不履行が発生した場合に備えて、損害賠償の範囲や条件を具体的に記載しましょう。
「受託者が重大な過失により委託者に損害を与えた場合、受託者は委託者に対しその損害を賠償するものとする。ただし、賠償額は本契約に基づく年間報酬総額を上限とする。」
7. 契約解除の条件
契約解除の条件やその際の手続きについても、契約書に明記しておく必要があります。たとえば、業務の進捗が著しく遅れた場合や報酬未払いが発生した場合、どのような手続きで契約を解除するのかを具体的に取り決めます。
「いずれか一方が本契約に定められた義務を履行しなかった場合、相手方は30日間の猶予期間を設けたうえで本契約を解除できる。」
8. 紛争解決方法
契約に関連してトラブルが発生した場合の解決方法についても定めておくことが必要です。裁判管轄や仲裁による解決方法などを取り決めておくと、万が一の際にスムーズに解決へと進められます。
「本契約に関連する紛争が生じた場合、当事者はまず誠意をもって協議するものとし、協議により解決できない場合は、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。」
営業代行契約の注意点
営業代行契約を締結する際には、いくつかの注意点があります。これらのポイントを押さえておくことで、契約後にトラブルが発生するリスクを最小限に抑えることができます。
業務範囲の曖昧さを避ける
業務内容を曖昧に記載してしまうと、後々トラブルの原因となることがよくあります。特に、営業活動の範囲や具体的な目標が不明確な場合、期待する成果が得られない際に契約不履行や報酬に関する問題が発生することがあります。
たとえば、営業代行が「新規顧客の獲得を目指す」と記載されているだけでは、その具体的な方法やターゲットが不明確です。これを防ぐためには、業務内容を具体的に記載し、「何をどのように行うのか」、「成果はどう測定するか」といった目標や成功基準を設定しておくことが重要です。
成果報酬か固定報酬かを明確に
営業代行の報酬形態は、成果報酬型と固定報酬型のどちらにするかで契約の条件が大きく異なります。成果報酬型の場合、報酬が発生するタイミングや基準を契約書で明確にしておかないと、支払い時にトラブルが発生しやすくなります。
たとえば、「売上がいくらになった時点で報酬が発生するのか」「見込み客の獲得も報酬対象に含まれるのか」など、具体的に設定する必要があります。一方、固定報酬型の場合でも、報酬の支払い条件や頻度、たとえば「毎月一定の金額を支払う」「月末締めで翌月の◯日に支払う」といった条件を詳細に決めておきましょう。
秘密保持に関する規定を厳格に
営業代行では、企業の内部情報や顧客情報を取り扱うことがよくあります。秘密保持の条項を明記し、業務上知り得た情報の取り扱い方について明確に規定しておくことが必要です。特に顧客データなどの流出リスクを防ぐための措置を盛り込みましょう。
契約書を適切に作成してトラブルを防ごう
営業代行を依頼する際に契約書を作成することは、双方の期待を明確にし、トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。契約書には、業務内容や報酬形態、契約期間、秘密保持などの項目を具体的に記載し、依頼者と営業代行会社やフリーランスとの信頼関係を築く土台となります。 特に、業務範囲や報酬形態、成果基準を明確にすることで、トラブルを回避できる可能性が高まります。 営業代行の依頼を検討している企業は、しっかりとした契約書の作成を忘れずに行い、長期的なビジネスパートナーとして信頼できる関係を築いていくことが大切です。