リファラル採用は大手でも導入できる?注意点や成功のポイントを解説

大手企業でも人材不足が深刻化する中、注目を集める「リファラル採用」。社員のネットワークを活用することで、採用コストの削減や優秀な人材の確保が期待される一方、大規模な組織では制度の導入や運用に課題も多く潜んでいます。
 
本記事では、リファラル採用が大手企業でどのように効果を発揮するのか、その意義やメリットに加え、よくある課題と成功のためのポイントを解説します。



目次[非表示]

  1. 1.大手企業におけるリファラル採用のメリット
    1. 1.1.転職潜在層への効率的なアプローチ
    2. 1.2.採用ミスマッチ削減と定着率向上
    3. 1.3.社員エンゲージメントの向上
    4. 1.4.採用コストの大幅削減
  2. 2.大手企業が抱えるリファラル採用の課題
    1. 2.1.導入意義の明確化が難しい
    2. 2.2.社員特性への対応が必要
  3. 3.大手企業がリファラル採用を成功に導くポイント
    1. 3.1.効果的なインセンティブ設計
    2. 3.2.社内外への周知とプロモーション
    3. 3.3.トライアル導入と改善
  4. 4.リファラル採用の大手企業の成功事例
    1. 4.1.富士通株式会社
    2. 4.2.セールスフォース・ジャパン
    3. 4.3.株式会社メルカリ
  5. 5.まとめ

大手企業におけるリファラル採用のメリット

大手企業でリファラル採用に取り組むことには、次のメリットがあります。

転職潜在層への効率的なアプローチ

日本では転職市場に積極的に参加しない「転職潜在層」が多く、優秀な人材の大半がこの層に含まれます。特に、日常的に転職活動を行っていないが、適切なタイミングでのスカウトに興味を示す人が少なくありません。
 
大手企業では、多くの社員が幅広い人脈を持つため、社員からの紹介を活用することで、この潜在層に効率的にアプローチが可能になります。たとえば、ITエンジニアや専門職のように需要が高く、転職市場で見つけにくい人材も、リファラル採用で獲得できる可能性があります。

採用ミスマッチ削減と定着率向上

リファラル採用の特徴は、社員が直接企業の魅力を伝えるため、応募者が入社前から企業の実情や文化を理解できる点にあります。これにより、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチが減少し、結果として高い定着率が期待できます。

社員エンゲージメントの向上

リファラル採用は、単なる採用活動の一環にとどまらず、社員のエンゲージメント向上にも寄与します。社員が友人や知人に自社を紹介することで、会社への愛着が強まり、企業との結びつきが深まります。
 
具体的には、「自分の会社を友人に自信を持って紹介できる」という体験が、社員のロイヤルティを高める要因になります。結果として社員のモチベーションが向上し、結果的に業績にも良い影響を与えます。

採用コストの大幅削減

求人広告や人材紹介会社を利用する場合、採用ごとに多額のコストがかかりますが、リファラル採用はその費用を大幅に削減できます。報酬としてインセンティブを用意する場合でも、全体のコストは通常の採用経路に比べて抑えられます。たとえば、年間100名の採用を目標とする企業が、そのうち半数をリファラル採用で充足できた場合、1,000万円以上のコスト削減が見込めます。

大手企業が抱えるリファラル採用の課題

大手企業がリファラル採用を行うことには、次のような課題があります。

導入意義の明確化が難しい

大手企業では多くの部署が関わるため、リファラル採用の導入において「なぜこの制度が必要なのか」を整理することが難しくなります。たとえば、「短期間で成果を出す」というプレッシャーが強い場合、リファラル採用の中長期的な効果が見過ごされがちです。そのため、経営層と人事部門が協力し、制度導入の目的を共有し、全社的な理解を深めることが必要です。

社員特性への対応が必要

すべての社員が積極的に紹介活動に参加するわけではありません。一般的に、社交的な社員や、自社に対する愛着が強い社員がリファラル採用に貢献します。一方で、消極的な社員には、紹介活動の重要性を周知する取り組みが求められます。キャンペーンを通じて紹介数を増やしたり、社員同士のコミュニケーションの場を設けることで、リファラル活動を促進できます。



大手企業がリファラル採用を成功に導くポイント

大手企業がリファラル採用を成功させるために、次のポイントを押さえましょう。

効果的なインセンティブ設計

報酬を単に高額にするのではなく、称賛や感謝のインセンティブが有効です。たとえば、紹介者に対して社内表彰制度を設けたり、定期的な感謝イベントを開催することで、社員のモチベーションを維持できます。

社内外への周知とプロモーション

制度の導入には、社内外への効果的な周知が不可欠です。社内ではイントラネットや社内研修を通じて制度の目的を伝え、ポスターや社内ニュースで定期的に周知します。また、外部向けには、採用サイトやSNSでリファラル制度をアピールすることで、応募者の興味を引きつけることが可能です。

トライアル導入と改善

リファラル採用の導入初期には、トライアルを行うことが推奨されます。たとえば、1~2ヶ月限定キャンペーンとして実施し、その結果をもとに制度を改善します。トライアル期間中に得られたフィードバックを活かし、正式な制度設計へと移行することで、導入時のリスクを最小限に抑えられます。

リファラル採用の大手企業の成功事例

リファラル採用を行っている大手企業の成功事例を3つ紹介します。

富士通株式会社

富士通は、リファラル採用の導入にあたって約4ヶ月間のトライアル期間を設定し、その間に社員や関係部署からのフィードバックを収集して制度の改善を行いました。こうした柔軟な運用の見直しにより、制度を実際の企業文化にフィットさせ、運用面での問題点を解消しています。
 
また、社員が簡単にリファラル活動に参加できるよう、専用のリファラル採用サイトを開設しました。紹介対象に関する詳細なガイドラインが提供されており、社員が安心して適切な人材を紹介できる環境を整えています。
 
さらに、人事部門のトップから全社員に向けてリファラル採用の意義や目標を伝えるメッセージが発信されました。このトップダウンのアプローチにより、制度の重要性が全社に浸透し、社員一人ひとりの協力を引き出すことができました。


参考資料:Wantedly「リファラル採用の成功事例12選」https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/refferal_case/

セールスフォース・ジャパン

セールスフォースは、中途採用の約半数が社員紹介によって実現されています。
 
リファラル採用を促進するために、セールスフォースは「V2MOM」と呼ばれる制度を導入し、全社員が自社の成長を「自分事」として捉えるよう働きかけています。これにより、社員は会社への愛着を強め、自信を持って友人や知人に会社を紹介するようになりました。さらに、社員紹介にインセンティブを設けるだけでなく、日常的なコミュニケーションや社内SNSでの活動を通じて、自然な形で紹介が行われる環境を整えています。
 
採用活動においては、リクルーターが中心的な役割を果たし、現場のビジネスリーダーを巻き込むことが重視されています。営業部門では、採用が売上に直結するという認識が浸透しており、リーダーたちは自主的に採用KPIを設定し、積極的な協力を行っています。


参考資料:d’s JOURNAL 「セールスフォース・ドットコムが、リファラル採用“約半数”を実現できる理由 」
https://www.dodadsj.com/content/180514_salesforce/

株式会社メルカリ

メルカリのリファラル採用は、表面的な紹介に終わることなく、候補者がメルカリの文化に馴染むための支援を行う点に特徴があります。社員は自らのネットワークを活用し、メルカリでの経験をシェアすることで、他者にも同じ成長機会を提供する姿勢を持っています。
 
さらに、面接官や採用チームも、候補者のスキルだけでなくカルチャーマッチを重視する姿勢を持っています。特に、変化の速い環境や混沌とした状況にも対応できる柔軟な人材を求めており、これがメルカリの成長を支える一因となっています。


参考資料:mercan 「「メルカリを勧めたというより…」社員紹介した・された者同士で話してみた! 」
https://careers.mercari.com/mercan/articles/30117/

まとめ

リファラル採用は、大手企業においても効果的な人材獲得の手段です。社員のネットワークを活用することで、転職潜在層への効率的なアプローチが可能となり、採用コストの削減やエンゲージメントの向上につながります。ただし、制度設計の難しさや社員の特性を考慮し、導入に向けた丁寧な準備が不可欠です。成功に向けては、トライアルの実施と改善を重ねながら、中長期的な視点での取り組みが求められます。


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