リファラル採用の報酬の決め方は?相場や注意点を解説

リファラル採用は、従業員の紹介を通じて効果的に人材を獲得する手法ですが、報酬の設定次第でその成否が大きく左右されます。本記事では、リファラル採用の報酬の決め方や相場、違法にならないための注意点などについて詳しく解説します。



目次[非表示]

  1. 1.リファラル採用の報酬の注意点
    1. 1.1.支払方法によっては違法になる
    2. 1.2.妥当性が高い金額を設定する必要がある
    3. 1.3.十分な説明が必要
  2. 2.リファラル採用の報酬の決め方
    1. 2.1.紹介者数を増やしたい場合
    2. 2.2.離職率を下げたい場合
    3. 2.3.スキルの高い人材を獲得したい場合
  3. 3.リファラル採用の報酬の相場
  4. 4.リファラル採用の報酬のトラブル例
    1. 4.1.報酬目当ての不適切な紹介
    2. 4.2.従業員間の不公平感の発生
    3. 4.3.応募者と紹介者間のトラブル
  5. 5.まとめ

リファラル採用の報酬の注意点

リファラル採用を成功させるために、報酬について次の注意点を押さえましょう。

支払方法によっては違法になる

リファラル採用に報酬制度を設ける場合、法令上の問題が生じる可能性があります。具体的には、紹介に対して報酬を支払う行為が「有料職業紹介」に該当するケースです。この点に関して、職業安定法の規定では、厚生労働大臣の許可を受けずに有料の職業紹介事業を行うことは禁止されています。
 
また、同法の第40条では、労働者の募集に関連して、紹介者に賃金や給料に準じない報酬を支払うことも原則として禁止されています。
 
『第四十条労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。』
引用:職業安定法「第40条」
 
したがって、従業員に紹介報酬としてインセンティブを与える場合は注意が必要です。ただし、報酬が「賃金や給料の一部として支払われる場合」は例外として認められる可能性があります。リファラル採用が違法とならないためには、報酬の支払い方法を慎重に検討し、法令を遵守する必要があります。

妥当性が高い金額を設定する必要がある

リファラル採用の報酬を設定する際には、妥当な金額の設定が求められます。報酬額は、「就業規則」や「賃金規程」に明記することが必須であり、職業安定法や労働基準法に準拠した運用が必要です。一般的には、法的な問題を避けるため、数万円程度の報酬が適切とされています。また、報酬の代わりに旅行券の進呈や会食費の支給を行う企業もあります。

十分な説明が必要

リファラル採用は、人材不足が深刻な業界において、効率的な採用手法の1つとして注目されています。従業員の紹介を通じてミスマッチを防ぎ、採用の手間やコストを削減できる利点がありますが、導入に際しては慎重な運用が不可欠です。急ぎすぎると、応募者と紹介者の関係悪化といったトラブルにつながるリスクがあるため、運用時には丁寧な配慮が求められます。
 
適切に運用できれば、リファラル採用は優れた人材の確保に役立つだけでなく、従業員の会社に対するエンゲージメント向上にもつながります。従業員が自社を紹介することで自社への愛着が深まり、より強固な組織を構築する効果も期待できます。



リファラル採用の報酬の決め方

リファラル採用の報酬は、目的に応じて次のように定めましょう。

紹介者数を増やしたい場合

紹介者数を増やすためには、応募のハードルを下げることが重要です。そのため、報酬を「成果ベース」ではなく「応募ベース」で設定する方法が効果的です。応募だけでも報酬が得られる仕組みにすることで、従業員が気軽に知人や友人を紹介できるようになります。
 
ただし、紹介報酬目的の応募が増えすぎると、企業の求める人材と合わない応募者が集まるリスクもあるため、バランスが必要です。紹介制度を効果的に活用するためには、適切な人材に関する基準を従業員に共有し、質と量の両方を確保する工夫が求められます。

離職率を下げたい場合

リファラル採用を活用して離職率の低下を目指すには、採用プロセスでのミスマッチ防止が欠かせません。紹介者が信頼できる人材を推薦するため、「紹介された人材を断りにくい」という心理が採用側に生じることがあります。そのため、採用時にはメリットだけでなく仕事内容や待遇のデメリットも正確に伝えることが重要です。
 
報酬設計においては、入社直後に支払うのではなく、「入社後一定期間経過後に支給」する形をとると効果的です。これにより、応募者の早期離職を防ぎ、定着率の向上を促すことができます。また、紹介者に対しても、入社後のサポートを促すような報酬体系を設けることで、長期的な定着につながります。

スキルの高い人材を獲得したい場合

専門性の高い人材をリファラル採用で獲得する際は、ポジションの難易度に応じた報酬の差別化が有効です。たとえば、特定の資格や豊富な経験が求められるエンジニア職のように、採用が難しいポジションには高めの報酬を設定すると、より優秀な人材を紹介してもらいやすくなります。また、スキルレベルに応じた段階的な報酬設定を行うことで、紹介者の動機づけを強化することが可能です。
 
具体的には、「資格の有無」「経験年数」「プロジェクト実績」など、採用ポジションの条件を満たすレベルに応じて報酬を調整します。

リファラル採用の報酬の相場

リファラル採用の報酬は企業ごとに異なり、1万円から30万円程度が一般的な範囲とされています。一方で、報酬を設定せずにリファラル採用を実施する企業も存在します。報酬額の設定は自由ですが、高すぎる報酬は報酬目当ての安易な紹介を誘発し、ミスマッチやトラブルの原因となる恐れがあります。
 
逆に、報酬が低すぎると従業員のモチベーションが上がらず、リファラル採用の効果が十分に発揮されない可能性もあります。そのため、企業の求める人材像や社内の雰囲気、対象となるポジションの重要性を考慮し、バランスの取れた報酬額を設定することが重要です。

リファラル採用の報酬のトラブル例

リファラル採用では、報酬に関して次のようなトラブルが起きることがあります。

報酬目当ての不適切な紹介

報酬が高すぎると、インセンティブを目的とした安易な紹介が増えるリスクがあります。紹介者が自社の基準に合わない人材を無理に紹介することで、ミスマッチが発生します。こうしたケースでは、応募者の早期離職や紹介者と会社との関係悪化が懸念されます。

従業員間の不公平感の発生

報酬体系が不明確だったり、従業員に十分に説明されていない場合、社内での不公平感が生じる可能性があります。一部の従業員だけが報酬を受け取っていると、他の従業員の不満が高まり、エンゲージメントの低下を招くことがあります。

応募者と紹介者間のトラブル

紹介者と応募者が入社後に意見の相違や関係悪化を起こすことがあります。紹介者が無理に入社を勧めた場合や、応募者が期待していた待遇や業務内容と実際が異なる場合、両者の関係が悪化するでしょう。

まとめ

リファラル採用は、適切な報酬と運用を心がけることで、採用活動がスムーズに進むだけでなく、従業員のエンゲージメントも高まります。企業文化に根付いたリファラル採用が、組織の未来をさらに豊かにする一助となるでしょう。今回、解説した内容を参考に、法律を守りつつ、リファラル採用を効果的に運用してください。


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